TOEICで高得点をとると就職や転職で有利になる。
実際、書店の英語教材のコーナーに行くと、TOEIC対策の書籍が溢れるほどに並べられていることからも、TOEICに人気ぶりがよく分かる。
だから、短期間にTOEICスコアを伸ばせる勉強法は誰もが知りたいことだろう。
でも、あなたが英語の初心者なら、そもそもどこから勉強を始めればいいのか、適当にTOEIC対策の問題集を買って問題を解いていればいいのか悩むはずだ。
そこで、この記事では、英語の初心者がTOEICスコアアップするための勉強法をお話しする。もちろん、試験の点数が上がるだけでなく、実用的な英語力が身につく勉強法だ。
英語の初心者がTOEICスコアアップするための勉強法は、以下の5つのステップに分けられる。1が終わってから2に進むというように順にやるのではなく、全体的にバランスよく勉強してほしい。
- 基礎文法を復習する。
- 読解力を伸ばす。
- 単語力をつける。
- リスニングを練習する。
- TOEICの試験問題になれる
以下に、1から5のそれぞれについて詳しく説明する。
■1.基礎文法を復習する。
高校や大学の受験勉強の経験から、文法に対して嫌悪感を持つ人が多いようだ。特に、一部の英会話スクールや英会話教材が、「文法なんか勉強しても無駄」というウソをまき散らしているので、「文法は時間のムダ説」を信じてしまう人が多い。
しかし、英会話を身に付けるにしても、TOEICでスコアアップを目指すにしても、基礎文法を身に付けることは必須だ。
「ネイティブは文法を勉強しなくても英語ペラペラじゃないか」
という意見を主張する人もいるが、ネイティブは生まれてからずっと、寝るとき以外は英語に囲まれた環境で生活しているから、英語のパターンを自然に身に付けられるだけだ。
日本に住んでいて日本語で生活している人が、ネイティブと同じように英語を身に付けられるわけがない。日本人には日本人の勉強法があるのだ。騙されてはいけない。
私がおすすめするのは、「中学英語がまるごとスッキリ分かる本」だ。
この本は、中学で習う英語を約200ページですっきりと説明してくれているので、長らく英語から遠ざかっていた人でも安心して基礎文法を勉強することができる。
その気になれば数日で読める分量なので、ダラダラやるより集中的に勉強して、一気に文法を復習してしまうのがいいだろう。
ちなみに、TOEIC用の文法参考書というのもあるが、TOEIC用の文法というものがあるわけではないので、分かりやすい参考書であれば何でもかまわない。
■2.読解力を伸ばす。
英語の初心者が読解力を伸ばすには読解力を伸ばすための問題集を解くのが効果的だが、問題が1つある。
それは、問題集に載っている英文は面白くないということだ。
「なんてこった。英語を身に付けるには、こんなにつまらない文章を毎日読まなければいけないのか!」
というように、英語を読むだけでも疲れるのに、つまらない文章を読むという苦痛を加えることになってしまう。
そこでおすすめするのは、IBCパブリッシング株式会社の「ラダーシリーズ」という本だ。
ラダーシリーズというのは、英語で書かれた小説などを、使用する単語を限定して、やさしい英語で書き改められた英語学習者向けの書籍のことだ。
上の画像を見れば分かるように、TOEICスコアごとに、どの本を読めばいいか明確に示されている。
たとえば、TOEIC300~400点レベルの書籍には以下のような書籍がある(もっとたくさんある)。
こういった書籍は、TOEICの長文問題集に掲載されている英文よりずっと面白いうえに、ストーリーを最初から最後まで続けて読めるので、英文を読むことを楽しむことができる。
また、1つのストーリーを読み続けると、同じ単語や表現が繰り返し出てくるので、単語や表現を自然に覚えることができる。
もちろん、TOEICを受験する直前には、TOEICの模擬試験の問題集を解いて問題に慣れる必要があるだろう。
しかし、読解力を鍛えるという勉強においては、このような「楽しみながら学べる本」を活用することはとても効果的だ。
■3.単語力をつける。
「2.読解力を伸ばす」をしっかりやっていれば、単語力は自然と伸びてくる。しかし、TOEICによく出てくる単語というのもあるので、TOEIC対策の単語教材も無視できない。
英語初心者であれば、まずはTOEIC 500点レベルの単語教材を選ぶのがいいだろう。
どの教材でも大きな違いはないが、教材を選ぶときに注意するポイントがある。それは以下のとおりだ。
- 単語と意味だけでなく、単語1つ1つに例文が載っていること。
- 例文は短めであること。
- オーディオが付属していること。
上記の条件を満たす単語教材を1500円から2000円くらいで購入できるはずだ。
▼単語を勉強するときのコツ
単語を覚えるときは、以下のポイントを守ってほしい。これらのポイントを守ることで、TOEICのようなペーパーテストの点数が上がるだけでなく、英会話のときに役立つ英語力が身につくからだ。
- 単語だけでなく、英文ごと覚える。
- 声に出して練習する。
- 日本語文を見て、英文を言えるようにする。
- オーディオを聞いて、正しい発音を覚える。
TOEIC 500点レベルの単語教材を買うと、日常生活でよく使う単語が中心に載せられている。だから、しっかりと覚えておけば、TOEICだけでなく、日常会話でも必ず役に立つ。
■リスニングを練習する。
リスニングが「聞き流し」で上達するなんてことは絶対にありえない。
リスニングの練習は、精聴と多聴をしっかりすることだ。
精聴と多聴について詳しくは、「英会話を世界一安い値段で身に付ける、簡単3つの方法」の「■3.無料のオーディオでリスニング練習をする」で説明しているので見てほしい。
練習に使うオーディオ教材は、TOEICの試験対策教材に付属しているオーディオはダメだ。それは、試験の直前に練習するための教材だ。
普段のリスニング練習には、もっと長くて楽しい教材のほうがいい。そうでなければ勉強が続かない。
精聴に使う教材は、NHK英会話の教材でもいいし、「ラダーシリーズ」の書籍には、別売りでオーディオを買えるものもある。だいたい7割くらい理解できるものを選ぼう。
多聴に使う教材は、上記の「英会話を世界一安い値段で身に付ける、簡単3つの方法」で紹介している「LoyalBooks」の無料オーディオがいいだろう。
なお、「簡単!TOEICなんか楽勝の4つのリスニング勉強法」も参考にしてほしい。
■5.TOEICの試験問題になれる
普段の勉強では、ここまで説明した
- 基礎文法を復習する。
- 読解力を伸ばす。
- 単語力をつける。
- リスニングを練習する。
をしっかりと勉強してほしい。
これらの1から4の勉強をしっかりしたら、文法力、読解力、リスニング力がかなり伸びているはずだ。
そして、TOEIC試験の直前に、TOEICの試験問題になれるための勉強をする。
普段の勉強でTOEICの試験問題になれる勉強をしてはいけない。そんなことをしたら、TOEICの点数はいいけれど、英会話がぜんぜんできない「試験英語」が身についてしまう。
必ず、1から4をしっかり実践することが大切だ。
その上で、TOEICの模擬試験や問題集を解いて、テスト問題に慣れるための勉強をする。
■初心者のためのTOEIC勉強法のまとめ
ここまで説明した勉強法をしっかり実践すると、驚くほど簡単にTOEICスコアが伸びていくはずだ。
しかも、試験英語ではなく実践英語を身に付けることができる。
TOEICというのは、あくまで自分の英語力を知るための目安の1つである。決して、TOEICを目標に勉強してはいけない。
もしこれを誤ると、高校受験や大学受験の英語と同じように、役に立たない英語が身についてしまう。