
英会話を身に付けるのに、どれくらいのお金がかかるだろうか?
英会話スクールに行けば、1年に数十万円はかかるし、海外留学すれば、数百万円という大金になる。
よほどお金に余裕がある人でなければ、気軽に投資できる金額ではないし、仕事をしていれば海外留学という選択肢は問題外だろう。
たしかに、オンライン英会話や書店で売られている英会話教材なら、もっと安い値段で英会話を学ぶことができるが、どれくらい効果があるのか疑問が残る。なぜなら、オンライン英会話は月数千円、書店の教材は1500円程度の安い値段で手に入るのに、それで英会話が身についたという人をあまり見かけないからだ。
それでは、どうすればできるだけお金をかけずに安い値段で英会話を身に付けられるのだろうか?
この記事では、電車すら走っていない田舎出身の私が、大人になってから英語の勉強を始めて、試行錯誤の結果たどり着いた、英会話力ゼロから始められる本当に効果のある勉強法を紹介する。できるだけお金をかけずに英会話を独学して、安く英会話を身に付けるための勉強法である。
できるだけお金をかけずに身に付けるには、以下の3つの練習を行う。
- 英作文をたくさんする。
- 英文日記を書く・一人英会話をする
- 無料のオーディオでリスニング練習をする
この英会話勉強法は、主語・動詞くらいの基本的な文法は知っているという前提だが、受験やTOEICで求められるような高度な文法知識は必要ない。中学で習うレベルの文法をざっくりと把握していたら大丈夫だ。
それでは、1から3について詳しく見ていこう。
■1.英作文をたくさんする
「英語を話す」ということは、頭の中で英作文をして、それを言葉にして言うという行為である。つまり、英語を話すには、最初に英作文することが必要だ。
英作文をたくさんすると言っても、何を言うか自分で決めて英作文するのではなく、瞬間英作文の教材を使って練習する。
瞬間英作文というのは、日本語で書かれた文を見て、それを瞬間的に英文に訳す練習法のことだ。ノートに英作文するのではなく、頭の中で英作文して、それを声に出して練習する。
たとえば、
「あなたのお気に入りのレストランは、どこですか?」
という日本語文を見て、
「Where is your favorite restaurant?」
という英文をすぐに作り、声に出して練習するのだ。
瞬間英作文の練習をするときは、最初は、文法単元ごとにまとめられた教材を使って練習するのが効果的だ。というのは、同じパターンの文章をたくさん作ることで、英文のパターンを体で覚えることができるからだ。
たとえば、以下の例のように、最初は同じような形の文章ばかりを練習するのだ。
「あなたのお気に入りのレストランは、どこですか?」
「彼女はどこで生まれましたか?」
「ヒロシは、どこで英語を勉強しましたか?」
同じパターンの英作文をたくさんすることで、英語の文法パターンを体で覚えることができる。文法パターンを体で覚えたら、英会話のときに、文法を意識しなくても、正しい文法で話せるようになる。
次に、文法単元ごとの英作文に慣れてきたら、いろいろな文章を英作文する練習をすることで、臨機応変に対応できるようになる。
たとえば、以下のようにいろいろな形の文章をミックスして練習する。
「私の父は、アメリカで働いています。」
「あなたはアメリカに行ったことがありますか?」
「彼は昨夜、パーティーに行きませんでした。」
「去年、仕事で香港に行ったとき、ジャッキー・チェンに会いました。」
このように、いろいろな文をミックスして練習することで、英語のパターンを確実に定着させることができる。
瞬間英作文の練習をするときのコツについて、以下に説明する。
- 試験英語みたいに時間をかけて和文英訳するのではなく、間違ってもいいのでできるだけ速く英語で言う。
- 数秒間考えても英文を言えないときは、すぐに答えを見て確認する。
- テキストを見ながらボソボソ声で練習するのではなく、外国人を相手に実際に会話しているところを想像しながら練習する。
- 必ず声に出して練習する。
- テキストだけでなく、オーディオを使って練習する。
- パッと英文が口から出てくるまで繰り返し練習する。
これらのコツを必ず守って練習してほしい。これらを実践しなければ、同じ時間を使って勉強しても効果は10分の1以下になってしまうからだ。
■2.英文日記を書く・一人英会話をする
「1.英作文をたくさんする」で英作文をたくさん練習すると、英語のパターンを体で覚えることができる。スポーツの練習に例えるなら、頭で知っていただけの動きを体で覚えたということだ。
そして、実際に英語で会話するときに、デタラメに単語を並べるだけのピジン英語※ではなく、正しい文法で英語を話せるようになる。
※ピジン語
ピジン言語(ピジンげんご、Pidgin languageまたは単にPidgin)とは、現地人と貿易商人などの外国語を話す人々との間で異言語間の意思疎通のために自然に作られた混合言語(接触言語)。
~中略~
ピジン語の(単語における)特徴は概ね次の通りである。
- ベースとなる言語の語形変化が単純化される。
- 語彙はベースとなる言語に比して極端に少ない。一つの単語が多義的に用いられる。
- ベースとなる言語の語彙以外に、他の言語の語彙が混入する。
ピジン英語の例
「ジャパン、プレーン、ナンバーワン、マラリア」
意訳「日本の飛行機は第一級だが、今はマラリアにかかっていて動けない」
しかし、英会話教材を使った勉強は、どうしても根本的な問題を避けることができない。それは、あなたが言いたいことが、そのまま英語教材の例文に載っているわけではないということだ。
英会話教材に載っている例文が、あなたの言いたいことに一致することはまずありえない。
たとえば、あなたが以下のように言いたいとする。
「昨日、朝一で部長に呼び出されてね。今の調子で営業成績を上げたら、君のボーナスはすごいことになるぞ、って言われたんですよ。」
と言いたいと思っても、このとおりの英文が載っている英会話教材は世界中探しても、どこにもないわけだ。
これは仕方がないことだ。
「1.英作文をたくさんする」で瞬間英作文を練習すると、英会話の基本パターンを体で覚えることができる。しかし、このような理由から、それだけで自由自在に言いたいことを英語で言えるようになるわけではない。
そこで、英会話教材を使った「1.英作文をたくさんする」の弱点を克服するために、「2.英文日記を書く・一人英会話をする」が必要になる。
「2.英文日記を書く・一人英会話をする」では、あなたが興味があること、言いたいことを英語で日記で書いたり、英語で言う練習をしたりすることで、英会話教材では扱いきれない、あなただけの英語表現の練習をするのだ。
「2.英文日記を書く・一人英会話をする」のやり方は簡単だ。
- その日の出来事を英語で日記に書く。
- その日の出来事や考えを英語で言ってみる。
基本的にはそれだけだ。
英文日記は夜に書き、英語で言う練習は、移動時間やテレビのコマーシャルの時間などのすき間時間や、お風呂に入っている時間などを活用して練習するといいだろう。
「2.英文日記を書く・一人英会話をする」のコツは、できるだけ短い英文と簡単な表現を使うことだ。まだ英語を話せないなら、最初は日本語で文章を思いつくことだろう。頭に思いついた日本語文を簡単な日本語に作り直してから、英文を作るのだ。
たとえば、
「会社で上司に呼ばれて、新しい取り引き先を3社、開拓するように命令された」
という文を英語で言いたいなら
「会社でボスが私に言った」「新しいパートナーを3つ見つけろ」
というように、短くて簡単な日本語に作り替えてから英語で文章を作る。
慣れるまでは、難しい表現を使おうとはせずに、できるだけ簡単な表現を使うことがポイントだ。
分からないところは、辞書で調べてもいいし、調べなくてもいい。
あまり細かい文法にこだわりすぎると全然前に進めなくなるので、少しくらい間違えた英文でもかまわない。細かいことにこだわるより、毎日続けることのほうが重要だ。
特に「その日の出来事や考えを英語で言ってみる。」は、少しでも時間があれば実践しよう。
その日の出来事について英語で言うのに飽きてきたら、趣味や仕事のこと、将来の夢、家族のことなど、その他いろいろなことを英語で言えるように練習するといい。
練習すればするほど、外国人と向かい合って話すときにスムーズに英語が口から出てくるようになるので、面倒がらずに練習しよう。
■3.無料のオーディオでリスニング練習をする
「1.英作文をたくさんする。」と「2.英文日記を書く・一人英会話をする」で、自分が英語を話す練習はかなりできた。
1と2をしっかり練習すれば、外国人と向かい合ったときに、言葉が出てこなくて沈黙してしまうということはなくなる。また、正しい文法を使って話せるようになる。
しかし、英会話というのは、相手の言うことを聞き取って、それに対して自分の意見を言うことだ。つまり、相手が言うことを聞き取れなければ会話は成立しない。
だから、リスニングの練習は、英会話を身に付けるうえで必須事項だ。
英語のリスニング教材は、市販のものは1万円~3万円くらいする。特別な工夫がこなされていて、効率的にリスニング力を伸ばせる教材もたくさんある。
しかし、お金をかけずにできるだけ安価に英会話をマスターするということを考えて、ここでは無料で手に入るリスニング教材を使うことにしよう。
インターネットを使えばいくらでも英語のオーディオを手に入れられるので、それらを利用しない手はない。
たとえば、Loyal Booksというサイトなら、著作権の切れた書籍のオーディオ版を無料でダウンロードすることができる。
「LoyalBooks」なら、書籍のオーディオとテキストを無料でダウンロードできる。
ウェブサイトで再生することも、オーディオファイルをダウンロードすることもできる。
もちろん、原文のテキストも簡単に手に入れることができるので、オーディオを聞いて、英文を見て確認するというリスニング練習が無料でできる。
テキストは、LoyalBooks内のリンクをクリックして、Gutenbergプロジェクトから簡単にダウンロードできる。
オーディオもテキストも、すべて無料かつ簡単に手に入れることができる。
ダウンロードしたオーディオは、iPodのような携帯型オーディオプレイヤーに入れておいて、移動のときなどに聞けば時間の有効活用にもなる。
▼リスニング力が伸びる勉強法
流し聞きするだけではリスニング力はまったく伸びない。リスニング力を伸ばすには、集中して勉強することが必須条件だ。
リスニングの練習法は、大きく精聴と多聴に分けられる。
精聴とは、細部まで集中して聞き取る練習法のことだ。何度も同じオーディオを繰り返し聞き、紙に書き出していくといいだろう。
オーディオを途中で停止しながらでもかまわないので、聞き取れることを全部書き出し、テキストを見て確認する。
さらに、オーディオを聞きながら声に出して繰り返し練習し、全部覚えてしまおう。
多聴とは、細部にこだわらずに、全体の意味を把握するための練習である。オーディオを途中で止めずに最後まで聞き、聞き取れない部分は前後の文脈から想像する。
これら精聴と多聴をしっかり練習することで、リスニング力は大きく伸びる。
■まとめ
英語を勉強するには、何かとお金がかかるものだ。しかし、ここで紹介した勉強法なら、最低限の支出で英会話を練習することができる。おそらく、世界一安い英会話の練習法ではないだろうか。
実際に外国人と話す練習をするには、友達を作るか、英会話レッスンを受ける必要がある。授業料の安いオンライン英会話を受けても、あまり上達しない人が多いようだが、ここで紹介して勉強法をしっかり実践した後なら、安い英会話レッスンでも大きな効果を出せるはずだ。