その昔、私が塾講師をしていたとき、「生徒に最低3回は復習させる」というのが塾の方針としてありました。
復習3回だから、塾の授業で1回、学校の授業で同じことを1回、プラス復習3回なので、合計5回は同じことを勉強することになります。
普通に考えると、同じことを5回も繰り返したら完璧に身に付きそうなものですが、実際には、それでも身に付かない生徒がいました。
そうなると
「私は頭が悪いから、いくら勉強してもダメだ」
と思いがちなのですが、必ずしもそうではありません。
同じことを同じように勉強して、同じ回数だけ復習しても、ちょっとした考え方の違いで、結果に大きな違いが出てくるんです。
その考え方の違いというのは、
「これ知っている」
と考ながら復習をするかどうかです。
復習というのは、一度勉強したことを繰り返すことなので、当然ながら「これ知っている」と思う部分が出てきます。
そういう部分って、気合いを入れて復習せずにサラッと流してしまいますよね。
でも、「知っている」と「身に付いている」は違うので、「これ知っている」と思いながら勉強したのでは「知ってるつもり」になってしまい、何も身に付きません。
また仮に、自分では手抜きをしていないつもりでいても、脳は
「これは知っているから重要でない」
と判断してしまうので記憶に残りません。
「これ知ってる」とか「この前やった」と思いながら復習するというのは、自分では復習しているつもりでも、脳は右から左へと情報を流しているだけなんですね。
結果として、「こんなに勉強しているのに身に付かない」ということになります。
そうならないためには、すでに知っていることでも、新しいことを学ぶつもりで、気持ちを改めて復習することです。
完全に覚えてしまった部分で、新しいことを学ぶつもりになるのが難しかったとしても、
「何か見落としがあるかも」
「新しい発見はないかな」
と、気を引き締めて復習することをおすすめします。
ちょっとした心の持ちようで、同じ時間を使っても得られる結果は大きく違ってきます。