私は、大学を卒業して23歳のときに、英語を本格的に勉強し始めた。それまでは、いわゆる受験英語というやつは得意であったが、一度も英語を話したことがなかったので、英会話などまったくできなかった。もちろん、ネイティブが話している英語を聞き取ることもできなかった。
そんな私が英語だけで生計を立てられるようになって、はや10年以上がすぎた。
この記事では、私が長年かかって見つけ出した、英語を最短・最楽にマスターする4ステップの英語の勉強法について説明する。
■私の英語学習経験
英語の勉強を始めたときは、まだインターネットなど普及しておらず、電子メールすら知らなかった。そのような時代だったし、電車も走っていないような田舎暮らしだったので、勉強法についての情報はまったくなく、ひたすら我流で勉強するだけだった。
ある程度、我流で勉強した後、ニュージーランドにワーキングホリデーで行き、さらにアメリカのコミュニティーカレッジに留学し、その後はアメリカワシントン州レドモンドのIT企業に就職した。
この間、なかなか英語を話せるようにならず、またネイティブの英語が聞き取れなくて、ずいぶんと苦労した。自分なりにいろいろな勉強法を試したが、誤った勉強法に時間を使いすぎたために、時間をかけたわりには上達しなかったのだ。
このような自分の学習経験と日本に帰国した後の英語指導の経験を通じて、どのように勉強すれば、コテコテの日本人が英会話を身に付けられるかがはっきりと分かってきた。
この方法で勉強すれば、何をやっても英語を話せるようにならない、いわゆる「英語難民」でもスムーズに英語を身に付けることができる。
■英語を最短かつ最楽に身に付けるための4ステップ勉強法
最初に、4ステップを簡単にまとめると、以下のようになる。
- STEP1:中学で習うレベルの文法・単語をざっくりと復習する。
- STEP2:表現のパターンごとに英作文をたくさん練習する。
- STEP3:人間を相手に英語を話す。
- STEP4:さらに上を目指す人は、さらにブラッシュアップする。
では、これらのステップについて詳しくお話しする。
■STEP1:中学で習うレベルの文法・単語をざっくりと復習する。
文法の勉強や単語の暗記というと、無条件に毛嫌いする人が多いことはよく承知している。しかし、これらはスポーツに例えるならば、基礎体力作りみたいなものだ。想像してほしい、これからサッカーを学ぼうという人であれば、まずは走って体力を付けなければ、サッカーの技術を身に付けることはままならないではないか。
英会話もこれと同じで、文法や単語という基礎体力を鍛えておかなければ、その後、ネイティブを相手にいくら会話の練習したとしても、ほとんど何も身につかないか、または映画「ベストキッド」に登場する日系人のミスター・ミヤギみたいに、変な英語を話すことになってしまう。
「Karate, here. 」みたいな、意味は分かるけど残念な英語だ。
もちろん、小さな子供の場合は、最初に文法や単語を覚える必要はないが、大人なってから英語を勉強するなら、必須事項だと思ってほしい。文法などいらないと宣伝している英会話教材もあるが、それはウソなので無視しよう。
では、どれくらい文法を勉強すればいいかということだが、見出しに書いたように「ざっくりと」で十分だ。
受験のときのような細かいことをすみずみまで暗記する必要はない。否定文や疑問文はどうやって作るのかなど、単語をどのような順に並べるべきなのかをしっかりと理解してほしい。
▼文法の勉強でやってはいけないこと
文法を勉強するときに重要なのは、受験生のときのような問題集をせっせとやらないことだ。特に、穴あき問題なんか解くことに時間を使っても、何の役にも立たない。そんなことに時間を使うのは無駄なので止めた方がいい。問題集をしっかり読んで、理解できたらそれで十分だ。
▼単語の覚え方
次に、単語を覚える方法だが、これも受験生みたいに単語と日本語を覚えるだけでは意味がない。覚えたい単語を含む英文ごと覚えるのがポイントだ。
単語を覚えるだけでもたいへんなのに、英文ごと覚えるなんてとんでもない、と思うかもしれない。しかし、単語だけ覚えても、英語で会話するときに使えるようにならないので、覚えた単語がすべて無駄になる。
しかし、英文ごと覚え覚えておくと、英会話のときに口からパッと出てくるようになる。だから、横着をせずに英文ごと覚えることが重要だ。
■STEP2:表現のパターンごとに英作文をたくさん練習する。
STEP1で文法を勉強したが、文法を覚えただけでは英会話はできるようにならない。そのことは、文法を徹底的に暗記した東大生など、一流大学に入学した人でも英会話ができないことからも分かるはずだ。
では、どうすれば、ステップ1で学んだ文法を「英会話で使えるレベル」まで昇華できるかというと、英作文をたくさんすることだ。
ステップ1では、文法や単語を覚えるというインプット勉強だったが、ステップ2では、英作文をたくさんすることで、ステップ1の内容をアウトプットする練習をするのだ。
具体的な練習方法を言うと、最初は、文法単元ごとに、日本語文を英語に訳す練習をする。問題集や参考書に載っている日本語文と英文を使うと練習しやすいだろう。
このとき、英作文と言ってもノートに書くのではなく、声に出して言う練習をする。それも、じっくりと時間をかけて英作文するのではなく、できるだけ速く言えるように練習しよう。
つまり、以下のような練習になる。
- 日本語文を見る。
- すぐに声に出して英語で言う。
- 教材の英文を見て間違いがないか確認する。
このような練習方法を瞬間英作文といい、専用の教材が市販されている。そのようなオーディオ付きの教材を持っている場合は、「1.日本語文を見る」の代わりに「日本語のオーディオを聞いて英語で言う」という練習もしっかりしよう。
瞬間英作文の練習をするときのポイントは、最初は、第1文型、第2文型のように、文法単元ごとに練習をして、ある程度言えるようになったら、文法単元ごとではなく、いろいろな文をミックスして英作文することだ。
さらに、瞬間英作文をするときに、とても重要なことは、「和文英訳」をしないことだ。
というのは、テキスト教材を見て英語で言う練習をしていると、頭の中の黒板に英作文して、それを声に出して言う癖が付いてしまうことがある。これではいけない。そうではなく、日本語を読んだら(聞いたら)、日本語文の場面を想像して、外国人に話しかけるつもりで英語で言う練習をすることだ。
鏡に自分の姿を写して、自分に話しかけるように練習するのもいいだろう。
■STEP3:人間を相手に英語を話す。
英会話教材によっては、「この教材だけで英語ペラペラになる」ということを匂わせているものがたくさんある。しかし、英会話というのは人間を相手にするものである以上、英会話教材を使った一人練習だけでは、どうしても英語の上達具合に限度がある。
そこで、どうしても人間を相手に英語を話す練習が必要になる。
練習相手に選ぶ人は、英語がネイティブの人なら一番いいが、中国人や韓国人など、英語が母国語でない人たちでも練習相手としては悪くない。また、日本人を相手に練習しても上達する。
ただ、一番手軽なのは、オンライン英会話を使うことではないだろうか。なんせ、朝から晩までいつでも、パソコンを使ってレッスンを受けられるのだ。しかも、授業料は1か月数千円程度と、驚くほどにお手頃だ。
そこで、ここではオンライン英会話を最大限に活用して、英語を話せるようになる練習法を紹介する。なお、ステップ3を始める前に、ステップ2の瞬間英会話をしっかり練習したということが前提だ。
▼英会話レッスンを10倍活用する方法
英会話レッスンを受けると、最初から英会話スクールが用意している学習カリキュラムを勧められる。しかし、ステップ2までしっかり練習したあなたには、そのようなお仕着せのカリキュラムは不要だ。
「No, thank you.」と言って、英会話スクールが用意したカリキュラムはお断りしよう。その代わりにすることは、自分で準備した話題について話をすることだ。
自分で話題を準備する方法は次のとおりだ。
- 英会話レッスン以外のときに、興味のあることについて英作文する。
- 英会話レッスンで、英作文した話題について英語で話す。
- 英会話講師に、表現や発音など、間違っているところを訂正してもらう。
- 話の内容について、次々と質問してもらい、それに答える練習をする。
つまり、
- 事前に準備すること
- 質問をたくさんしてもらい、それに回答すること
だ。
英会話教師が準備したレッスンを言われるとおりに受けているだけでは、1年たってもほとんど上達しないだろう。しかし、このように自分で準備して、自分でレッスンを進めるなら、英会話が上達するスピードは格段に速くなる。
■STEP4:さらに上を目指す人は、さらにブラッシュアップする
ステップ3までの練習をすると、日常会話で困ることはなくなる。だから、ステップ4は、さらに上を目指す人のためのステップだ。
ステップ3までやって、英語で会話ができるようになってくると、それ以上は勉強するのを止めてしまい、上達が止まってしまうことがある。しかし、さらにレベルの高い英語を目指すなら、そこで止まらずに勉強を続けることだ。
具体的には、英字新聞やタイムマガジン、ニューズウィークなどを読んで政治や経済など時事英語で使われる表現を覚えたり、ペーパーバックを読んで、会話的な表現を覚えることだ。
もちろん、洋画を見たり、海外映画を見たりするのもとてもいい。洋画や海外ドラマを見るときは、必ずインターネットでスクリプトを探して、何て言っているのかを確認するようにしよう。
また、英文法の本を読んだり、単語教材に目を通して単語を強化するのもよい。
このようにして学んだことは、必ず英会話のときに使ってみることだ。実際に使って初めて、自分が正しく理解できているかを確認できるし、しっかりと記憶に残るようになるからだ。
■まとめ
英会話というと、なかなか上達しなくて難しいように考えがちだが、正しい方法と順序で勉強すれば、意外なほど簡単に身に付けることができる。
ここでお話しした4ステップの英語の勉強法を実践して、ぜひとも最短・最楽で英会話を身に付けていただきたい。