「単語が覚えられません。どうしたらいいですか?」とか「英文法が覚えられません」と相談されることがあります。
こういった人の特徴としては、「教材が自分に合わない」とか「教材が良くない」と思っていたり、「勉強ができる人は秘密の勉強法を知っているに違いない」と思っていることです。
実際は、教材や勉強法ではなく、もっと根本的な部分に問題があります。
もう何十年も昔の話ですが、私は小学生のときにサッカー教室に行っていました。
当時はまだプロリーグは存在しなくて、プロスポーツといえば野球という時代です。
今では想像できませんが、サッカーはかなりマイナーなスポーツでした。
今思い返すと、私は子供のときから人と同じことをするのが嫌いだったようで、みんなが野球をしているから自分はサッカーをやってみよう、と考えたのです。
(みんながファミコンを買っていたから、私はセガを買って後悔したこともあります)
それで、毎週日曜日の午前中が練習日だったのですが、まったく上達しませんでした。
上達しなかった理由は単純で、練習をしなかったからです。
普通に考えて、週に1回練習するだけで上達するわけがありません。
上達するためには、普段からの練習が必要です。
そのために、親がサッカーボールを買ってくれたので、平日でもリフティングやドリブルなどの練習ができたのですが、まったく練習しませんでした。
特に、サッカーの基礎の基礎とも言えるリフティングの練習はまったくしませんでした。
どうして練習しなかったかというと、リフティングが下手だったから。
矛盾していますよね。
リフティングが下手だから練習が必要なのに、下手だから練習しないなんて・・
でも、ボールを1回蹴っただけで、とんでもない方向に飛んで行ってしまうのを2、3回経験すると嫌になってしまいました。
下手だから練習が必要なのに、下手だから練習しないなんて、どう考えても矛盾しています。
どうして、そんなふうになってしまったのか?
今、思い返してみると、いくつかの理由が思い当たります。
理由1:
練習したら上達するというイメージがわかなかった。
練習したら上達する。
練習しなければ下手なまま。
当たり前のことなのに、それすら知りませんでした。
理由2:
失敗するのが嫌だった。
成功ばかりしたかった。
ボールを蹴ったときに、変な方向に飛んでいくのが嫌でした。
ちゃんと上に飛んでほしい。
上でなければ我慢できない。
という感じです。
理由3:
上手い人は、最初から上手いものだと思い込んでいた。
本気でそう思っていました。
なぜなら、人がコツコツと練習しているところを見たことがなかったから。
上手な人は、誰も見ていないところで反復練習をしているのに、そんなことを考えたこともありませんでした。
そもそも、私の周りには、スポーツでも勉強でも、コツコツと努力している人がいませんでした。
少なくとも、そんな姿を見たことがありませんでした。
だから、上手な人の上手なところだけを見て、その裏にある積み重ねを知らなかったのです。
そんなふうだったので、勉強についても、できる人は最初からできるものだと思って、努力をしたことがありませんでした。
今、英語を指導していて、当時の私と同じ経験をしている人を見かけることがあります。
そういう人は、
「単語を覚えられません」
「勉強しても頭に入ってきません」
ということを口にしますが、それは考え違いです。
単語を覚えられないのではなく、覚えるまで勉強していないだけ。
頭に入らないのではなく、頭に入るまで勉強していないだけ。
過去の私がそうだったので、確信を持ってそう言えます。
できる人は「単語が覚えられない」なんてことを言いません。
そんな愚痴を言わずに覚えられるまで勉強するだけです。
こういう考え違いをしていると、永久に何も身に付かないので注意してください。