前回の記事「超カンタン!記憶力を劇的に高める3ステップ」の中で、記憶力を向上させる方法の一つとして「イメージで記憶する」という手法をご紹介しました。
実はこのやり方、かなり前から何度もお伝えしているのですが、「本当に効果があるの?」と疑問に感じている方も少なくないようです。
というのも、中学や高校の頃に身につけた学習スタイルが根強く染みついていて、それ以外の方法をなかなか受け入れにくいのだと思います。
そこで今回は、この「イメージで覚える」というテクニックについて、もう少し詳しくお話ししていきますね。
「イメージで覚える」というテクニック
まず、ひとつ質問です。小学生のときに使っていた国語の教科書の文章、何か思い出せますか?どの学年でもかまいません。
たぶん、ほとんどの人が内容をあまり覚えていないのではないでしょうか。
では、次の質問です。小学校時代に行った遠足のことはどうでしょう?具体的な出来事が、すっと思い浮かびませんか?
前日に買いに行ったお菓子のこと、お母さんが作ってくれたお弁当の味、バスで気持ち悪くなった記憶など、何かしらの場面が頭に残っていると思います。
教科書の文章は授業で何度も目にしていたはずなのに、ほとんど忘れてしまっていますよね。
一方で、遠足の思い出は、特に覚えようと努力したわけでもないのに、自然と記憶に残っています。
この違いはなぜ起こるのかというと、人間の脳は「本で学んだ知識」よりも「実際に体験したこと」のほうを優先して覚えるようにできているからです。
特に、感情が大きく動いた出来事――嬉しかったり、悲しかったり、緊張したりした経験――は、強く記憶に刻まれます。
たとえば、初めて告白して振られた記憶なんて、一生忘れないかもしれませんね。
英語学習でのイメージ化の活用
この傾向は英語学習にもそのまま当てはまります。
単語帳で一生懸命覚えた英単語は、時間が経つとすぐに忘れてしまいがちですが、実際に外国人との会話の中で出てきた単語は、自然と覚えてしまうことが多いです。
なぜかというと、それが「体験」として記憶されているからなんです。
しかも、外国人と英語で話すという状況は非日常的で感情の動きも伴いやすく、より記憶に残りやすいんですね。
昨日お伝えした「イメージで記憶する」方法は、そういった“体験記憶”を擬似的に作り出す工夫です。
たとえば、実際にはテキストを使って勉強しているだけでも、頭の中でリアルな会話のシーンを想像すれば、脳にとっては「実際の体験」のように処理されます。
このとき、なるべく感情を伴うイメージにすると、さらに効果的です。
たとえば「interrupt(中断する)」という単語を覚える場合、職場で外国人の上司がランチを取っているところへ近づき、「Sorry to interrupt your meal, but…」(お食事中に失礼しますが…)と声をかけたら、「今は食事中だ、話しかけるな!」と怒鳴ってきた。そんな緊張感のあるシーンを想像すれば、記憶に強く残ります。
「そんな空想で覚えられるの?」と思う方もいるかもしれませんが、実は脳は想像と現実を意外と区別できません。
映画を観て涙を流したり、ドキドキしたりするのも、そのシーンに脳が反応している証拠です。
フィクションとわかっていても、感情が動いてしまうんですよね。
この方法で身につけた英語表現は、実際の会話でもスッと出てくるようになります。
なぜなら、頭の中で繰り返し“予行練習”しているからです。
もちろん、普段から外国人と英語で話す機会がある人なら、わざわざこの方法を使う必要はありません。
でも、そんな環境がない場合でも、このテクニックを使えば、通勤中やちょっとした休憩時間でも英語力を伸ばせます。
ぜひ、日々の学習に取り入れてみてください。