「なぜベストを尽くさないのか?」
このフレーズは、ドラマや映画で話題になった『トリック』に登場する上田次郎(演:阿部寛さん)の口癖です。
彼が自分自身を鼓舞する際によく使っていました。
実際、このセリフをタイトルにした本も出版されていて、印象に残っている方も多いかもしれません。
上田教授といえば、理屈っぽくてちょっと間が抜けたキャラクターですが、この言葉だけはやけに胸に残る力があります。
というのも、自分自身のことを考えてみると、「ベストを尽くしたい」と思って行動しているつもりでも、いつも途中で
「まあ、このくらいでいいかな」
「これ以上やっても意味ないかも」
「とりあえずやることはやったし」
といった考えが頭をよぎり、「やりきった」と心から思えることが少ないんです。
そこで、また思い出します。
「どうして自分は全力を出せないんだろう?」
私は筋トレが趣味で、日々のトレーニングで力を出し切ることを目指しています。
ところが、トレーニングが終わってから振り返ると、いつもどこかで
「もう少しできたはずだよな…」
という感情が湧いてきます。
そこで気づきました。
「そもそも“ベストを尽くす”って、どんな状態なのかな?」
仕事でも、勉強でも、運動でも、「今日のゴールはここまで」とはっきり決めていないと、どこまでやっても「足りていない」と感じてしまうものです。
予定していたことを完了すれば、それで十分なのか。
それとも、さらに一歩先に進んでこそ「やりきった」と言えるのか。
こうした基準を、自分の中で具体的に設定しておくことが大切なんだと感じています。
数字など、目に見える形で目標を定めておけば、自分なりの満足ラインが明確になります。
もし、あなたが競技の世界で結果を求められる立場にいるなら、「もっとやれたはず」という感覚がモチベーションにつながるかもしれません。
ですが、そういった厳しい競争が日常にない人であれば、
「自分にとっての最適な状態」
を定義して、それを達成できたら自分を認めてあげる、というスタンスの方が日々の満足感を得やすくなります。
たとえば、
「今日はやるべきことを全部終えられた」
「明日の準備までできたなんて、えらい!」
こんなふうに実感できれば、気持ちよく一日を締めくくることができます。
そして、こうした小さな達成感を毎日積み重ねていくことで、途中で挫折しづらくなりますし、無理のない、充実した毎日を送ることができるはずです。